経営理念を定着させる方法 – 株式会社FANSS 株式会社FANSS 経営理念を定着させる方法 – 株式会社FANSS

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経営理念を定着させる方法

『”百日の説法屁一つ”というようなことわざもある通り、どんなにいいことを説いても、そのなすところがそれに反していたのでは、十分な説得力は持ち得ない。』

上の言葉は松下幸之助著「指導者の条件」からの引用で、率先垂範という題で書かれた文章の中の一節です。

経営理念を定着させたいならば、まずは実際の会社経営が経営理念に反していないかを確認しなければいけません。実務とかけ離れて、耳触りの良い言葉を並べて作ったような経営理念は、従業員の意欲を削ぐだけです。

そして経営理念がなぜ必要なのか、トップが明確に説明できなければなりません。「有名な会社がやっているから」「世界の素晴らしい会社が定めているから」というのでは不十分です。模倣が悪いのではなく、なぜその会社を模倣するのかという理由がないからです。

ここまでが準備段階です。早速本題に入ります。
定着させる方法、それは定着する仕組みを作ることです。定着する仕組みは何でもいいのですが、例えば社員に対する研修プログラムの一環として組み込んでしまうという方法があります。

具体的には、既存の社員がランダムでグループによる説明担当となり、新入社員(中途含む)に対して経営理念を説明する研修を実施します。これは説明担当社員への研修でもあって、達成目標は2つあります。1つは自らの言葉で経営理念と会社の実務について説明をし、新入社員を納得させてやる気を刺激すること。もう1つは、新入社員への教育研修を通じて、経営理念に対する疑問点、問題点、改善点を見つけ出し、グループとして修正案を取りまとめて提案し、改善を実現することです。

新入社員は定期的に入ってきますので、説明担当のグループもそれに応じて選抜します。2つの目標を達成できたかどうかで説明担当グループの評価は変わります。1つ目の目標達成で及第点、修正案の内容に応じて加点、もし改善を実現できたら全員が最高評価を得られるような制度が良いかと思います。

新入社員へ説明しなければいけない立場となることで、既存の社員が経営理念について自分ごととして考えるという効果、そして新入社員に将来説明者となる事を伝えることで研修への意欲を引き出すという効果が狙いです。

研修は人事がやるもの、という考え方では、なかなか主体的に取り組む社員は増えません。そして仕事が忙しいからそんなプロジェクトに人は割けない、というのであれば、経営理念がなぜ必要なのか、という問いに戻らなければいけません。必要がないなら経営理念なんて無くても良いのでは?

経営者の目線で「自分ごと」として考えてください、と言うのは簡単ですが、それならまず「自分ごとになる仕組み」を考えるべきではないでしょうか。本気なら。

(文責)岩永

「経営理念という魔物」というコラムもあります。

2022年5月6日 2:21