やる気を引き出す方法 – 株式会社FANSS 株式会社FANSS やる気を引き出す方法 – 株式会社FANSS

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やる気を引き出す方法

誰にでも出来る、簡単で有効な1つの方法

前回のコラムで、優秀な指導者の条件は「やる気にさせる」こと、という趣旨を書きました。

優秀な指導者とは?

ではどうやって、やる気にさせるのか。ここが大切で知恵の出しどころ、頭の絞りどころです。行動経済学の分野では様々な研究が行われていますので、そうした最新の知見を活かすというやり方もあります。しかし、その前に一つ大切な事があります。それは相手を信じてあげることです。

信じるとはどういうことか。よく人事系のコンサル等が言いがちな言葉ですが、以下のようなカテゴリー分けを聞いた事はありませんか。
自燃型 自ら燃えて目標を達成できる人
可燃型 自燃型がいると影響されて燃えてくれる人
不燃型 何があっても燃えない人

私はこの分類方法が嫌いです。某有名経営者の方も自燃性、可燃性、不燃性というタイプがあると言われていますが、経営者という立場でのポジショントークにしか聞こえません。なぜなら、ビジネスにおける自燃型というのは言い方を変えると、仕事に対して凄くやる気のある人、という事だからです。

補足を入れると、みんな自分が好きでやりたい事に対しては「自燃型」に該当するはずです。つまり人間性や性格の類型ではなくて、単に現在の仕事が好きか嫌いかであって、不燃型と分類したところで結局はつまらない仕事を与えられているからやる気がない、という理由に帰結する事がほとんどです。

やる気にさせる事ができるのは優秀な指導者だけ、それなら最初からやる気のある人間だけを採用すればいい、という考え方は、経営者としては合理的かもしれません。しかし、このカテゴリー分類は、本当にずっと変わらないんでしょうか。単にある時点での印象、というだけではないでしょうか。

話が遠回りしてしまいましたが、つまり「教える相手が必ずやる気を出して、飛躍的に成長する」事を信じてあげてほしい。成長しないのは彼が不燃型だから、と学ぶ側のせいにするのではなくて、謙虚な心を持って、やる気にさせる方法が間違っている=指導者が無能なせいだと考えるべきということです。

なぜなら、部下や後輩を育てることも経営者や管理職の仕事だからです。もっと言えば、育たないのは本人がダメなせいだ、としてしまうと、指導者の成長は止まってしまうからです。もし、低い評価をされて部署をたらい回しにされてきた人が、あなたの部下になった途端に飛躍的に成長した、なんて事が起きたら素晴らしいと思いませんか。

というわけで相手を信じるところから始めましょう。
前置きが長くなりましたが本題に戻ります。どうやってやる気を引き出すのか。たくさん方法はありますが、今日は1つに絞って説明します。すぐに実行できる簡単かつ有効な方法です。

「私はあなたの行動をしっかり見ているよ、という事を伝える」はい、これだけです。
これだけですが、言行一致でないと効果はありません。しっかり見てください。そして相手の行動に違和感があれば、その理由を聞いてあげてください。ただし、ぎちぎちに管理するという事ではないですし、職務質問のように聞いてはいけません。

どんな仕事であっても、見てくれている人がいるかいないかで、やる気は全然変わります。うまくいって褒められる時だけではなく、失敗して叱られたとしても、その理由が納得できるものであった場合、叱られた人への信頼感は高まります。そして他人に見られているよりも、信頼できる人に見られている時の方がやる気は高まります。

子どもについて考えてみてください。ちょっとしたことでも、子どもは良く「見て、見て〜」と言って親に行動を見せようとします。これが発表会など、努力して練習したものであれば、より見てほしいというのが感情です。見てくれている人がいるから頑張ろう、というのは自然な心の動きなのです。

頼んだ仕事を期限までに終わらせてくれたから褒める、遅れたら叱るという簡単な行動はもうやめましょう。本当は1日で終わる仕事なのに、期限が3日間だから2日は遊んでいたとすれば、それをちゃんと指摘してあげないと、上司がバカだから適当に仕事してればいいや、となってしまう可能性があります。あなたの能力ならもっと早くできたはず、と言われて嬉しく思わない人は少ないでしょう。

蛇足かもしれませんが最後に。仕事の報酬は仕事である、という考え方がありますが、人間の感情をよく理解したものだと思います。なぜなら、仕事をしっかり見てもらえるだけでも嬉しいものなのに、それが褒められて、期待されて新しい仕事を頼まれるので、また頑張ろうという気持ちになるからです。勿論ここでも、あなたの仕事を見て、評価して、その結果新しい仕事を頼みたいんだ、としっかり伝えることが大切になります。

経験上は女性の方が観察力に長けていると思いますので、女性の管理職比率が上がっていくことで、優秀な指導者が増えていけば良いなと期待しています。もちろん男性がダメということではありません。やる気を引き出すというのは単なるスキルなので、謙虚な気持ちで研鑽を積まないと、と自分を戒めて結びたいと思います。

(文責)岩永

2022年4月30日 2:03