良い会社の条件 – 株式会社FANSS 株式会社FANSS 良い会社の条件 – 株式会社FANSS

ユニークな個性の支援を通じて社会の文化的成熟に貢献する 株式会社FANSS

良い会社の条件

信用が最も大切

「良い会社」とは、どんな会社だと思いますか?
もし会社主催のリーダー研修の場でこんな質問を投げた場合、様々な素晴らしい回答が返ってくるはずです。世界一の技術がある、素晴らしい理念を実践している、あるいは増収増益を達成し続けるなど、個々人の考える理想の会社像が聞けると思います。

ただし、この質問には特に明確な答えというものはありません。それも当然で、質問に不備があるというか、立場を明確にしていないのです。つまり、”顧客にとって”良い会社なのか、”株主にとって”なのか、”従業員にとって”なのか、立場によって理想は変わってくるからです。

増収増益を続けて株価はうなぎのぼりでも、人件費として還元しない会社があれば、株主にとっては良い会社でも従業員にとっては良い会社と思えないかもしれません。もちろん逆も然りです。

そうは言っても何か共通の軸があるはず、ということでサブタイトルの出番です。
会社にとっては、信用が最も大切ではないでしょうか。そして忘れがちなのですが、従業員に対しても信用を失わないようにすることが大切です。

若手の頃に勤めていた保険会社でのことなのですが、私が入社した年に、早期退職という名目での退職勧奨がありました。40代以上が対象で、特定の中高年の従業員を狙い撃ちするような、まぁ良くある施策だったと記憶しています。

その施策が発表された後に偶然、人事担当の役員と会社主導の食事会のような場で話す機会がありました。私は当時から生意気なヤツだったので、恐れ知らずにも、退職勧奨についての不満をぶつけました。ガンガン新規採用している一方で退職勧奨とは筋が通ってないのでは、という思いがあったからです。すると役員は不思議そうな顔でこう言いました。「いや、君は全く対象じゃないから心配することないよ」と。

私はその時思いました。『そうかこの人は、従業員だって未来を想像するってことを、想像すらしないのか』はい。さすがにいくら生意気な私でも、言っちゃいけない台詞だと思って言わなかったような気がします。(もし口に出していたとしたら、その節は大変失礼しました・・)

今は若手でも時が経てば必ず中高年になる時が来ます。その際に、年齢も給与水準も高いから退職勧奨して人件費減らすか、と簡単に切る会社に勤めていたいと思いますか。私は、もし自分が中高年になったらという想像をしたのですが、そうした想像力が無いと思っている、というのは驚きでした。

もちろん業績が悪くなってやむなく実施した策であったなら、別の印象だったと思います。新規採用はしっかり行う一方で、狙い撃ちのような退職勧奨をするというのが、「大義名分が無い」と感じた大きな理由でした。

歴史を顧みても、大義名分が無い戦争を起こして勝利した例は非常に稀です。たとえ目先の戦に勝てたとしても、その後に必ず没落します。逆に戦国時代を終わらせた徳川家康は、大義名分に非常にこだわった人物として知られています。大義名分が無い戦いを起こすと信用を失うということを理解していたのだと思います。

特に創業社長や、創業者から引き継いだ二代目社長の方には注意して欲しいのですが、権力で人は縛れても、信用は買えません。顧客に信頼されることがビジネスでの成功には必須、ということは色々な偉い方々が教えてくれていますが、「顧客」に限定する必要は無いと考えています。従業員にも、取引先にも、関わるすべての方々に信頼されるのが良い会社である前提条件。そう思いませんか?

(文責)岩永

2022年5月23日 1:15