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税のあり方について

消費税

導入でも増税でも、直後の選挙では必ず負ける、という親殺しの鬼っ子。これが30年以上も生き残った上に市民権を得てしまったなと、半ば諦めの果てに感じている。景気に左右されない安定財源を得たい、という財務省の執念たるや恐ろしい。

賢明な方々はもうお気付きかと思うが、私は消費税反対である。本当は「限定付反対」と言いたいところだが、ほぼ限定不要なので、単なる反対で良しとしよう。喩えるなら、「限定付酒好き」ではなく「酒好き」と自称する、みたいなものである。私だって酒を飲みたくない時もあるのだが、いつと問われてバカにされるのは癪なので限定を外すのである。

ところが、あっしは消費税反対でござい、なんてことを酒席で放言すると、そこは酔漢同士、ではお前は国家財政が破綻しても良いと言うのか、今の日本の借金の額を見ろ!というお叱りを受けたりもする。そうなると勿論、売られた喧嘩は買わずにゃいられない、などと嘯いて全力で論陣を張るのだが、しょせんは酔っ払い、お互い相手の話なんぞ聞いちゃいないし、挙句に自分が何を言いたかったのかも忘れる始末である。

これを繰り返してはたと気付いた。「消費税反対」というのは、真面目な場で真面目な顔をして主張しないと、そもそも聞いてすら貰えないのではないかと。真面目な場というのは、酒を飲んでいる時以外と言い換えても良い。しかし一方で酒も飲んでいないのに、そんな話題を振ってくる中年男がいたら、やはり忌避されるであろう。ということは結局、「消費税反対」という主張が真剣に受け止められる場所はない。やるな財務省め。

というわけで Webの片隅に落書きを残すしか無くなった。消費税になぜ反対かというと、個人消費が減ると単純に景気が悪くなるからである。バブル景気崩壊後の経済的低迷は、少子化と並んで日本の重大な課題である。もちろん政治の失敗ではあるが、そうした政治を許してきた国民の失敗でもある。

もうひとつ大きな弊害もある。それは、貧困層ほど負担の重い仕組みになっていることである。税の徴収には、富の再分配という機能もあるからだ。これは、資本主義のひとつの副作用である「資本家(金持ち)ほど金を稼げる」という点を制限する効果をもっている。富の再分配が適切に行われないと、富裕層はより裕福に、貧困層はより貧乏になっていってしまう。現在、世界中で起きているように。

高収入を得ている人たちが、累進課税による税金の多さを批判するような意見を述べていることがある。しかし、富の再分配によりメリットを受けるのは、実は富裕層なのだ。平和で秩序のある社会が維持されている時にこそ、富の所有に価値があるからだ。もし大金を持ったまま、法も秩序もない弱肉強食の世界に放り込まれてしまったらどうなるか。真っ先に殺されてしまうだろう。奪われるべき物を持っていない人たちより早く。

治安の良さで最もメリットを享受するのは大金持ちである。だから、ぜひ富裕層の方々も、富の再分配を阻害し、景気を悪化させる「消費税」に、反対の立場に宗旨替えして頂きたい、と祈るばかり。

(文責 岩永)

2023年2月5日 20:44