2022年4月17日。迎えた皐月賞。イクイノックスは負けた。あっさりと。
大外18番枠から自然にスタートを切り、すっと2、3番手グループに付けた。少し前に行きたがるそぶりを見せつつ、最終コーナー手前では前から3頭目まで進出。最終直線に向いた時には馬場の真ん中あたりに進路を確保。ずば抜けた瞬発力で一瞬のうちに加速し、あっという間に前を捉えて残り200メートル地点で先頭に躍り出た。
ここから一気に後続を突き放して圧勝だな。そう思った直後、外からジオグリフが伸びてきた。対照的にイクイノックスの脚は止まった。これが久々のレースの影響なのか、早め先頭で気を抜いてしまったのか、左ムチに驚いてよれた右側の馬場が悪かったせいなのか、中山競馬場の直線最後の坂を登る力が足りなかったのか、名手と言われるルメール騎手の作戦ミスなのか。あるいはこれら全てか。
原因はわからないが、事実は揺らがない。1着入線はジオグリフ。イクイノックスは2着に敗れた。3冠の夢は、早くも砕けた。4分ほど私が呆然としていたうちに、レース結果と払戻し金額が確定した。勝ったジオグリフは5番人気であった。
ちなみに父キタサンブラックは皐月賞で3着に敗れている。イクイノックスは1つ順位を上げたと見ることもできるが、戦前の期待からすれば、取りこぼしたという印象が拭えない。これで日本ダービーは負けられなくなった。なおさらに。
新馬戦、東京スポーツ杯(G2)と勝ったあと、2歳チャンピオンを決める朝日杯やホープフルSに出ず、皐月賞トライアルすら出走せず、ぶっつけで皐月賞というローテーションについては批判もあった。基本的にはどんなローテーションでも馬主(オーナー)の自由と言えるが、独りの馬主ではなく、500口の一口馬主を集めたクラブ所属馬のため、出資した一口馬主の中には不満を抱いた方もいたはずだ。
そういった内外からの意見、不安、非難を払拭するには、次走の日本ダービー(東京優駿)で勝つしかない。皐月賞のイクイノックスには、キタサンブラック、ブラックタイドと続いてきた影に隠れがちだった血統が陽の目をみられるかが掛かっていた。日本ダービーではこれに加えて、厩舎スタッフから調教師、騎手、馬主たちも含めた陣営の思いも併せて背負うことになる。
とはいえ私はイクイノックスは名馬になると信じている。まずは5月29日に東京競馬場で行われる日本ダービーに注目して欲しい。ダービーの勝利を皮切りに、ブラックタイド〜キタサンブラック〜イクイノックスと続いてきた系譜の『Equinox』を成し遂げられる可能性は十分にあるはずだ。
(文責)岩永
2022年4月22日 23:06